誰かの物語が人を動かす

先日、ある人と話の中で
私が地方創生に関わることになった経緯を
話す機会がありました。
 
 
私は今、プロジェクトや自主企画を中心に
コンテンツディレクターをしていますが
それ以前は中小企業向けにWEBを活用したコンサルタントをしていました。

ホテルや観光バス会社、小売店、メーカー、アプリ開発、飲食店、農家、サービス業など様々な業種の方から、「集客」、「売上アップ」「人材獲得」等の相談が多く
これまで600以上の解決案を提案してきました。
 
その中でコンサル時代からのお客様で
現在も仲良くさせていただいているある方と

一緒に行ったプロジェクトが私が地方創生を考えることにつながっているのです。
 

そのお客様とは小さな田舎町で
温泉旅館を営むご夫婦。

地元でとれた旬の食材を使った料理が
評判の旅館で海外にも
たくさんのファンがいらっしゃいました。
 
その旅館の女将はいつも前向きで活動的。
外国人のお客様とも積極的に
コミュニケーションを取りたいと
忙しい合間を縫って英会話スクールに通っているお話もお聞きしました。
 
それ以外にも、街の活性化にも前向きで
祭の実行委員を自ら買って出たり
集客につながるキャンペーンを自分で考え、商店街でやってみたり・・・
とにかく今よりよくなるためにとやれることを考え行動し続ける方でした。
 
旅館の料理を担当するのは旦那様で
そのセンスと味は楽天トラベルなどの旅行サイトでも度々話題になるほどでした。
 
そんないつも元気で前向きなご夫婦と
話す時間は私にとってパワーチャージの
時間でもあったのです。
 
 
ある日、旅館の旦那様より
女将が病気で亡くなり
しばらく旅館を休むことになった
と連絡が入りました。

私はあまりに突然のことで
信じられないまま
葬儀へ参列したことを覚えています。
 
 
そのあとしばらくして
街を訪ねました。
いつも見ていた風景も
何だか静けさに包まれていて
胸が締め付けられる想いを感じながら
旅館を訪ね、旦那様と話すことになったのです。


旦那様の顔からは以前のような
覇気が感じられませんでした。
女将の体調に気が付いてあげられなかった
後悔を語り
今はまだ何をする気にもなれない
と旅館の営業再開は未定という状況でした。
 

最愛のパートナーであり
相棒をなくしたのですから
無理もありません。
 
ただ、このままでは旅館の存続どころか
旦那様の心までもが
壊れてしまうのではないか…
そう思った私は
彼にこんな提案をしました。
 

「以前旅館に来てくれたお客様に呼びかけて
旅館での想いでの写真を集めませんか?
そしてそれをフォトブックにして女将にもみてもらいましょう。」
 
 
旦那様の喪失感が大きいのは
それだけ女将さんから
幸せをもらっていたからです。
 
そして、それは私にとっても同じでした。
いつも明るくて、前向きで
思いやりが深くて…。

私も、女将さんから
たくさんの幸せをいただいていました。
そして、それは私以外の人たちも
たくさんの人たちもそうだったと
確信していました。
 

女将さんに元気をもらった人たちが
たくさんいて…。
それを旦那様にも思い出してほしい。
女将さんが残したものを
女将さんの意志を
少しでも感じてもらいたい
と願っての提案でした。
 

当初その提案は
全く受け入れられませんでしたが
時間をかけてじっくり話し合った結果
フォトブックを作る企画はスタートしました。

後に旦那様にお話を伺うと
女将の「現状維持は退化と同じ」という
口ぐせを思い出し
決意してくれたのだそうです。
 
また、この旅館には
写真にまつわる都市伝説がありました。

女将と写真を撮ると
夢が叶ったり
好きな人と両想いになれた
仕事で良い結果を残せた
等お客様にラッキーが訪れるというのです。
 
そのため世界中から
1000枚以上の写真が集まり
そこには写真だけでなく
応援のメッセージや女将との思い出
旅館や温泉地へのエール
予約の相談が寄せられたのです。

女将さんが幸せにした人達が
たくさんいることを感じた旦那様は
思い出したんだと思います。

女将さんがどんな人だったのか?
そして、天国にいる女将さんが
何を願っているのか?を
このことが旦那様の沈んだ心に灯をともし
女将の死から6ヶ月後、満を持して旅館は営業再開を果たしたのです。 

 
写真は一瞬をエターナル(永遠)にします。
写真を見ると、楽しかったあの頃に
瞬間移動することができます。

まだ行ったことがない素敵な場所
そこで過ごす楽しい時間を知ることができます。
 
女将さんの写真を送ってくださった方々は、
その写真を見て、もう一度女将さんとあの頃の自分に再会しました。

そして、再び、旅館を予約してくれました。

そこで、フォトブックと旅館の壁一面に飾られたフォトブックに入りきれなかった
女将さんと映る沢山の笑顔の写真を見て
沢山の幸せがあったことを知りました。
 
その沢山の笑顔の写真は
旅館のウェブサイトや、
お客さんたちのSNSにも載せられました。

そうして、その場所でしかつくられない
幸せを求めて
また沢山のお客様が旅館にいらっしゃっています。
 
「これまでの幸せ」は
「これからの幸せ」に繋がっていくんです。
 
 
この出来事をきっかけに
「その地にしかない物語」に興味を持つようになり
自分自身も好んでマイナーな小さな観光地にじっくり訪れるようになりました。
そして、そこで地元の人と何気ない会話を交わす中で
街への愛や誇りを感じました。
 
また、マイナーな観光地は何もない
と思っていましたが
そんなことはなかった。
 
地方にはその地ならではの魅力があって
地方には魅力的な人がいて、
既にあるものと知恵を活かした楽しい場所があって
その地にしかない美味しいものがあったんです。
 
 
「ない」ものに目を向けるのではなく
「ある」ものに目を向けると
世界の見え方はガラッと変わります。

そういう、自分の感動体験を伝えたい
そのために、私に何ができるのか?
と考え、出した結論が地方創生をライフワークにしていくことだったのです。
カメラに興味を持ったのも、ちょうどこの頃。
 

トレンドだからやってるんでしょ?
と斜めに見られることもあるんですが
実は全然そうじゃないんです。
むしろ、コロナで思うように動けなくなり
今は本当に好きでやりたいからやっているんです。
 

マチヒトコトモノ活動日誌

未来に向けて意欲的に挑戦を続ける人が好き!そのパッションあふれるサービスを形にするプランニングディレクターの活動記録や思ったことを綴ります